2010年 05月 21日
おもだか家物語 14回目 |
建築屋を探す。
手段は知り合い聞いたり、広告を見たり、インターネット・雑誌など媒体を調べたり..
これまでに、表面上の情報は十分と言える位仕入れてきた。
でも、情報収集だけでは、建築会社の雰囲気がわかっても、その会社が我が家の住宅を
建築しているイメージは作れない。
我が家と建築会社との相交わったやりとりが、想像できない。
家作りを想像するには、それぞれの立場の登場人物が必要となる。
今週末の土日、まるまる2日間を展示場めぐりに費やすことにした。
2日間とはいえ、けっして多い時間ではない、しかもタクは急ぎ始めている。
出来るだけ無駄な時間は使いたくない。
なので、展示場へ行く前に訪問すべき数社を絞ることにした。
まず、ここでは建てないだろうという会社をピックアップし、10社程度とは縁がなくなった。
次に、とても興味のある会社を3社ピックアップ。
この3社は、最初に訪問しよう、ということにした。
残るは、展示場には出展しているが、よく分からない会社が7社。
よく分からない会社なので、やめたほうがいいかもしれない、と思いながらも
よく分からないから、と言うことでもしかしたらを期待して、その場で適当に入ってみる事に。
とりあえず、この週末の予定の話し合いができた。
スミはこの土日で3社位まで絞って、打ち合わせの時間を効率的に使っていこうと思った。
一方、タクはこの土日で1社に絞り、来週以降は現実的な話をどんどん進めてくつもりだ。
いずれにしても、この土日いよいよ行動を起こす事になった。
土曜の朝、ケンはてっきりいつもの休日のようにタクと公園で遊べるものだと思っていた。
そう言えば、この土日の予定をタクもスミも子供たちに言いそびれていた。
「ねぇ、とおちゃん、何時に公園行く?」ケンが言うと、タクは
「今日は展示場に行くから公園は行かないよ」
「えー、何で、行こうよ、とおちゃん。」
ケンは、この間よりもボールが上手く蹴れるようになったのをタクに見せたかった。
それだけのことだが、ケンには大事なことだった。
「ちょっとでいいから行こうよ。」ケンはお願いするように催促した。
今度はスミが
「ケン、また後でもいいでしょ、今日と明日はみんなで家を見に行くことしてたのよ」と言った。
「後じゃダメなんだよっ、今日っ!」ケンが言うと、めずらしくタクが大きな声をあげた。
「ケンっ!言うことを聞けっ!」
ケンはめったに怒らないタクが怒鳴ったことに一瞬キョトンとしていたが、やがて大きな声で
泣き始めてしまった。
「そんないい方しなくても..。」とスミがケンの頭をなでながら言った。
タクはバツが悪そうに、キッチンの方へ行ってしまった。
そういえば、今日のことも子供たちに言っていなかったし、最近は家の事ばかり考えていて、
子供たちの事は二の次だったなとスミは思った。
「ごめんね、ケン..。どうして今日が良かったの?」とスミは聞いてみた。
ケンはボール蹴りのことを涙声でヒクヒクしながら答えた。
「そうだったの、ちゃんと聞かなくてごめんね。」と言いながら、妹のセツの方へ目をやった。
セツは兄の泣く姿を心配して見ていたが、特にいつもと変わった様子ではなかった。
ここのところ、家の事ばかりで大事な子供達に気を配る事が出来ていなかったかもしれない。
まだ、そんな状況ではないが、夫婦二人があまりにも家の事ばかりを考えていたのでは、
もっとも大切な家族の輪がへこんでしまうかもしれない。
そもそも、家族の輪を強く太くするための家作りが、その逆では全く意味の無いこと。
もし、そうなってしまうなら家なんか作らなくていい...。
急ぎ始めているタクの気持も気がかりだし、今後家作りがちゃんとできるのか..。
スミは新居に対する希望よりも、不安のほうが明らかに大きいことを悟った。
つづく
手段は知り合い聞いたり、広告を見たり、インターネット・雑誌など媒体を調べたり..
これまでに、表面上の情報は十分と言える位仕入れてきた。
でも、情報収集だけでは、建築会社の雰囲気がわかっても、その会社が我が家の住宅を
建築しているイメージは作れない。
我が家と建築会社との相交わったやりとりが、想像できない。
家作りを想像するには、それぞれの立場の登場人物が必要となる。
今週末の土日、まるまる2日間を展示場めぐりに費やすことにした。
2日間とはいえ、けっして多い時間ではない、しかもタクは急ぎ始めている。
出来るだけ無駄な時間は使いたくない。
なので、展示場へ行く前に訪問すべき数社を絞ることにした。
まず、ここでは建てないだろうという会社をピックアップし、10社程度とは縁がなくなった。
次に、とても興味のある会社を3社ピックアップ。
この3社は、最初に訪問しよう、ということにした。
残るは、展示場には出展しているが、よく分からない会社が7社。
よく分からない会社なので、やめたほうがいいかもしれない、と思いながらも
よく分からないから、と言うことでもしかしたらを期待して、その場で適当に入ってみる事に。
とりあえず、この週末の予定の話し合いができた。
スミはこの土日で3社位まで絞って、打ち合わせの時間を効率的に使っていこうと思った。
一方、タクはこの土日で1社に絞り、来週以降は現実的な話をどんどん進めてくつもりだ。
いずれにしても、この土日いよいよ行動を起こす事になった。
土曜の朝、ケンはてっきりいつもの休日のようにタクと公園で遊べるものだと思っていた。
そう言えば、この土日の予定をタクもスミも子供たちに言いそびれていた。
「ねぇ、とおちゃん、何時に公園行く?」ケンが言うと、タクは
「今日は展示場に行くから公園は行かないよ」
「えー、何で、行こうよ、とおちゃん。」
ケンは、この間よりもボールが上手く蹴れるようになったのをタクに見せたかった。
それだけのことだが、ケンには大事なことだった。
「ちょっとでいいから行こうよ。」ケンはお願いするように催促した。
今度はスミが
「ケン、また後でもいいでしょ、今日と明日はみんなで家を見に行くことしてたのよ」と言った。
「後じゃダメなんだよっ、今日っ!」ケンが言うと、めずらしくタクが大きな声をあげた。
「ケンっ!言うことを聞けっ!」
ケンはめったに怒らないタクが怒鳴ったことに一瞬キョトンとしていたが、やがて大きな声で
泣き始めてしまった。
「そんないい方しなくても..。」とスミがケンの頭をなでながら言った。
タクはバツが悪そうに、キッチンの方へ行ってしまった。
そういえば、今日のことも子供たちに言っていなかったし、最近は家の事ばかり考えていて、
子供たちの事は二の次だったなとスミは思った。
「ごめんね、ケン..。どうして今日が良かったの?」とスミは聞いてみた。
ケンはボール蹴りのことを涙声でヒクヒクしながら答えた。
「そうだったの、ちゃんと聞かなくてごめんね。」と言いながら、妹のセツの方へ目をやった。
セツは兄の泣く姿を心配して見ていたが、特にいつもと変わった様子ではなかった。
ここのところ、家の事ばかりで大事な子供達に気を配る事が出来ていなかったかもしれない。
まだ、そんな状況ではないが、夫婦二人があまりにも家の事ばかりを考えていたのでは、
もっとも大切な家族の輪がへこんでしまうかもしれない。
そもそも、家族の輪を強く太くするための家作りが、その逆では全く意味の無いこと。
もし、そうなってしまうなら家なんか作らなくていい...。
急ぎ始めているタクの気持も気がかりだし、今後家作りがちゃんとできるのか..。
スミは新居に対する希望よりも、不安のほうが明らかに大きいことを悟った。
つづく
by omodakablog
| 2010-05-21 21:30
| おもだか家 物語