2010年 04月 09日
おもだか家物語 9回目 |
次の日、朝の家事を終え、不動産屋に着いたのは10時30分を過ぎていた。
入口からは店内に2人の人影が見える。
年配の男女で、女性は昨日のおばさん、もう一人がおそらく社長であるダンナのようだ。
スミに気づいた昨日のおばさんがドアを開けて中へ招き入れてくれた。
「おとうさん、昨日来てくれた人よ。」
そのおとうさんが、「あ、どうも」と社長の名刺をスミに渡してくれた。
スミはあいさつを済ませ、促されて着席すると、さっそく気になる細長い方の土地について
質問した。
気になる点は2つ。
現地は見ているので、物件の詳細についてではなく、両方とも土地の価格に関すること。
1つ目は購入時、土地の上に建っている建物はそのままなのか?ということ
もう1つは、土地の地盤に関すること。
まず、1つ目めの質問の回答は、
「ありゃ、広告に書き忘れちゃった。
更地渡しだよ。話が決まれば地主さんが壊してくれるから心配ないよ。」
社長は奥さんと違って、口早に答えてくれた。
「それとあんな小屋でも水道引いていたみたいだから
加入金を負担するだけで水も使えるよ。」
あまり土地の取引のないこの不動産屋では、広告に住宅用地としてのメリットになる情報を
あまりうたっていないようだった。
「地盤の方は、最近他の不動産屋でも良く聞くよ。保険の関係だろ。」
「そりゃ、これから家を建てるのに地盤の強さは気になるよね。
地盤の補強工事費もバカにならないし、金額によっちゃぁ建物にも影響出ちゃうもんね。」
「そうなんです。家に掛けられるお金がどれくらいなのか、
しっかり分かってから土地を決めたいんです。」
スミが答えた。
「でも建築屋に聞いてみると、建物が隅々までちゃんと決まらないと地盤にどんな補強を
すればいいかは分からないみたいだよ。
うちでも適当にこの辺って言って、地盤調査は出来るけど、
所詮参考にしかならないみたいだよ。」
「そうなんですか..。」
スミは、大丈夫さ。という言葉を少し期待していた。
しかしながら結果は、良く分からないということだった。
購入を決める時点で調査をしたとしても、実際の構造、位置などで地盤補強が
不要だった土地でも、場合によっては補強工事が必要になるようだとのことだった。
どこの土地を購入するにしても建築の決定がされてから地盤調査をし、
地盤補強の有無を確定するということだと理解した。
また、最近調べ始めて知った保険のことを考えると、地盤補強の工事費をある程度覚悟
しておかなくちゃいけないんだと思った。
今現在、住宅の建設に際し、法律で保険への加入、又は供託金の納付
という2通りのどちらかを選択することが、建設業者に義務として課せられている。
法律というのは「住宅瑕疵(かし)担保履行法」という名で、
要約すると建設した住宅に雨漏りや構造的な欠陥が見つかった場合、建設した建設業者が
責任を持ってその補修をしなければならない。
しかしながら、建設業者の倒産などの理由で対応できない場合に、
変わって保険会社から補修費を負担してもらうか、または、供託金として
納付しておいたお金を補修工事に充てなさい。
といった法律。
「そっちの土地の方がいいの?」
少し会話の切れたところで、おばちゃんが口を出した。
「金額も大きさも同じような感じなので少し迷ってます。
でも、ハッキリした理由はないけど何となく、こっちの方がいいかな、とは思ってます。」
「あらそう、なかなか買い換えられるもんじゃないからねぇ。
でもね、今まで見てきて思うんだけど、あたしの経験じゃ直感でいいと思った土地を
買った人はあんまり後で後悔してないみたいよ。
土地探しは、恋人探しみたいなことを言う人がいるけど一理あるかもね。」
「そうなんですか、 直感ねぇ..」
スミは小さくつぶやきながら、少し安心したような気持ちになった。
「その土地、もし気に入れば、昔からの知り合いの地主だから、少しくらいまけてくれって
言ってみるよ。せっかくうちに来たんだから何か1つくらいいいことなきゃね。」
社長が早口で言った。
入口からは店内に2人の人影が見える。
年配の男女で、女性は昨日のおばさん、もう一人がおそらく社長であるダンナのようだ。
スミに気づいた昨日のおばさんがドアを開けて中へ招き入れてくれた。
「おとうさん、昨日来てくれた人よ。」
そのおとうさんが、「あ、どうも」と社長の名刺をスミに渡してくれた。
スミはあいさつを済ませ、促されて着席すると、さっそく気になる細長い方の土地について
質問した。
気になる点は2つ。
現地は見ているので、物件の詳細についてではなく、両方とも土地の価格に関すること。
1つ目は購入時、土地の上に建っている建物はそのままなのか?ということ
もう1つは、土地の地盤に関すること。
まず、1つ目めの質問の回答は、
「ありゃ、広告に書き忘れちゃった。
更地渡しだよ。話が決まれば地主さんが壊してくれるから心配ないよ。」
社長は奥さんと違って、口早に答えてくれた。
「それとあんな小屋でも水道引いていたみたいだから
加入金を負担するだけで水も使えるよ。」
あまり土地の取引のないこの不動産屋では、広告に住宅用地としてのメリットになる情報を
あまりうたっていないようだった。
「地盤の方は、最近他の不動産屋でも良く聞くよ。保険の関係だろ。」
「そりゃ、これから家を建てるのに地盤の強さは気になるよね。
地盤の補強工事費もバカにならないし、金額によっちゃぁ建物にも影響出ちゃうもんね。」
「そうなんです。家に掛けられるお金がどれくらいなのか、
しっかり分かってから土地を決めたいんです。」
スミが答えた。
「でも建築屋に聞いてみると、建物が隅々までちゃんと決まらないと地盤にどんな補強を
すればいいかは分からないみたいだよ。
うちでも適当にこの辺って言って、地盤調査は出来るけど、
所詮参考にしかならないみたいだよ。」
「そうなんですか..。」
スミは、大丈夫さ。という言葉を少し期待していた。
しかしながら結果は、良く分からないということだった。
購入を決める時点で調査をしたとしても、実際の構造、位置などで地盤補強が
不要だった土地でも、場合によっては補強工事が必要になるようだとのことだった。
どこの土地を購入するにしても建築の決定がされてから地盤調査をし、
地盤補強の有無を確定するということだと理解した。
また、最近調べ始めて知った保険のことを考えると、地盤補強の工事費をある程度覚悟
しておかなくちゃいけないんだと思った。
今現在、住宅の建設に際し、法律で保険への加入、又は供託金の納付
という2通りのどちらかを選択することが、建設業者に義務として課せられている。
法律というのは「住宅瑕疵(かし)担保履行法」という名で、
要約すると建設した住宅に雨漏りや構造的な欠陥が見つかった場合、建設した建設業者が
責任を持ってその補修をしなければならない。
しかしながら、建設業者の倒産などの理由で対応できない場合に、
変わって保険会社から補修費を負担してもらうか、または、供託金として
納付しておいたお金を補修工事に充てなさい。
といった法律。
「そっちの土地の方がいいの?」
少し会話の切れたところで、おばちゃんが口を出した。
「金額も大きさも同じような感じなので少し迷ってます。
でも、ハッキリした理由はないけど何となく、こっちの方がいいかな、とは思ってます。」
「あらそう、なかなか買い換えられるもんじゃないからねぇ。
でもね、今まで見てきて思うんだけど、あたしの経験じゃ直感でいいと思った土地を
買った人はあんまり後で後悔してないみたいよ。
土地探しは、恋人探しみたいなことを言う人がいるけど一理あるかもね。」
「そうなんですか、 直感ねぇ..」
スミは小さくつぶやきながら、少し安心したような気持ちになった。
「その土地、もし気に入れば、昔からの知り合いの地主だから、少しくらいまけてくれって
言ってみるよ。せっかくうちに来たんだから何か1つくらいいいことなきゃね。」
社長が早口で言った。
by omodakablog
| 2010-04-09 18:48
| おもだか家 物語