2010年 03月 19日
おもだか家物語 7回目 |
スミは夕飯を終え、明日気になる土地2物件を扱う不動産屋さんへ行ってみると言った。
とりあえず一人で行くつもりで言ってみたが、タクはどこかで時間を作るから一緒に行こう
と言った。
タクは今回のこの計画では、どこへ行くにも出来る限りスミと二人で行きたいと思っていた。
事務的な事柄であれば、一人で動いてしまった方が楽なこともある。
しかしながら、人づたいに聞いた話は結果としては分かっても、その話の雰囲気までは
なかなか伝わってこない。
様々な事柄を決定していかなければならない今回の計画では、出来る限り
スミと同じ情報を同じレベル,同じタイミングで知っておきたい。
価値観や好みが違っていてるのは当然なこと。
その中で、互いに出した希望が異なっていることについては、互いに話し合って
決めれば良い。
でも、情報の認識が違っていることが原因で、意見が別れてしまうことだけは避けたい。
そこまで深刻でもないが、何となくそんな風に思っていた。
「明日の昼休みなら少し時間が取れるから、駅前で12:15分に待ち合わせしよう」
タクは、手帳を見ながら言った。
「忙しいのにいいの?」
スミは、すまなそうに言ったが、タクの気持ちも何となく分かった。
翌日、駅前で時間通り待ち合わせた二人は、そこから歩いて3分ほどの不動産屋へと
向かった。
ガラス越しに中をのぞくと、受付らしき年配の女性が座っているのが見えた。
それほど大きな店構えではなく、古くからこの地域の物件を扱っていて、この地域の
いわば老舗的な不動産屋さんだった。
年配の女性が、のぞいているスミに気づいて、ニッコリしながらどうぞと言ったように見えた。
タクはそれを見て、スミを伴って引き戸を開け店内へ入った。
今度は女性はタクのほうを見て、アパートでもお探しですか?とゆったりした口調で聞いた。
タクは、まだ考え始めたばかりだけどと、念を押し、住宅用の土地を探していることを伝えた。
「あらまぁそうですかぁ」と小太りな年配の女性は再びゆったりした口調で答えた。
「お気に入りの土地でもありました?」と聞かれると、スミは気になる2物件のことを
聞いてみた。
「二つともまだ問い合わせも無いと思うわよ。ちょっと社長に聞いてみましょうか?」
と女性が言うので、タクはお願いしますといった。
女性は机の上の電話のボタンを2つ3つ押して、電話を掛けた。
「あ、お父さん?ご飯中?」
相変わらず、ゆったりしゃべるこの女性は、2物件のことと、問合せの状況などをダンナと
おぼしき電話の相手に聞いていた。
最後に「あら良かった、じゃあまたね」と言って電話を置いた。
「今のところ、どっちも問合せも何もないみたいよ。ゆっくり考えたらどう?」
といってくれた。
タクは、人から勧められると断れない性格で、実は今日来て問い合わせることで、
購入をどんどん勧められてしまうのでは、と少し不安も抱いていた。
でも、目の前のおばさんは、そんな一面も無く、タクにとって安心できる印象だった。
「とりあえず、細かな資料をあげるから、両方とも見てきなさいよ。時間を変えたり、
日を変えたりして見てみるといいかもしれないわよ。」
そう言って2枚のコピーを差し出してくれた。
「金額はどっちも似たようなもんね、家のことも考えなきゃいけないから大変ねぇ。
少しくらいならオマケしてあげてって社長に言っておいてあげるわ。」
スミにとっても印象のいいこのおばちゃんは、ゆったりながらしっかりと対応してくれた。
二人とも、ここなら急ぎすぎず、必要な時間を掛けて土地探しが出来そうだと安堵した。
つづく
担当:花子
とりあえず一人で行くつもりで言ってみたが、タクはどこかで時間を作るから一緒に行こう
と言った。
タクは今回のこの計画では、どこへ行くにも出来る限りスミと二人で行きたいと思っていた。
事務的な事柄であれば、一人で動いてしまった方が楽なこともある。
しかしながら、人づたいに聞いた話は結果としては分かっても、その話の雰囲気までは
なかなか伝わってこない。
様々な事柄を決定していかなければならない今回の計画では、出来る限り
スミと同じ情報を同じレベル,同じタイミングで知っておきたい。
価値観や好みが違っていてるのは当然なこと。
その中で、互いに出した希望が異なっていることについては、互いに話し合って
決めれば良い。
でも、情報の認識が違っていることが原因で、意見が別れてしまうことだけは避けたい。
そこまで深刻でもないが、何となくそんな風に思っていた。
「明日の昼休みなら少し時間が取れるから、駅前で12:15分に待ち合わせしよう」
タクは、手帳を見ながら言った。
「忙しいのにいいの?」
スミは、すまなそうに言ったが、タクの気持ちも何となく分かった。
翌日、駅前で時間通り待ち合わせた二人は、そこから歩いて3分ほどの不動産屋へと
向かった。
ガラス越しに中をのぞくと、受付らしき年配の女性が座っているのが見えた。
それほど大きな店構えではなく、古くからこの地域の物件を扱っていて、この地域の
いわば老舗的な不動産屋さんだった。
年配の女性が、のぞいているスミに気づいて、ニッコリしながらどうぞと言ったように見えた。
タクはそれを見て、スミを伴って引き戸を開け店内へ入った。
今度は女性はタクのほうを見て、アパートでもお探しですか?とゆったりした口調で聞いた。
タクは、まだ考え始めたばかりだけどと、念を押し、住宅用の土地を探していることを伝えた。
「あらまぁそうですかぁ」と小太りな年配の女性は再びゆったりした口調で答えた。
「お気に入りの土地でもありました?」と聞かれると、スミは気になる2物件のことを
聞いてみた。
「二つともまだ問い合わせも無いと思うわよ。ちょっと社長に聞いてみましょうか?」
と女性が言うので、タクはお願いしますといった。
女性は机の上の電話のボタンを2つ3つ押して、電話を掛けた。
「あ、お父さん?ご飯中?」
相変わらず、ゆったりしゃべるこの女性は、2物件のことと、問合せの状況などをダンナと
おぼしき電話の相手に聞いていた。
最後に「あら良かった、じゃあまたね」と言って電話を置いた。
「今のところ、どっちも問合せも何もないみたいよ。ゆっくり考えたらどう?」
といってくれた。
タクは、人から勧められると断れない性格で、実は今日来て問い合わせることで、
購入をどんどん勧められてしまうのでは、と少し不安も抱いていた。
でも、目の前のおばさんは、そんな一面も無く、タクにとって安心できる印象だった。
「とりあえず、細かな資料をあげるから、両方とも見てきなさいよ。時間を変えたり、
日を変えたりして見てみるといいかもしれないわよ。」
そう言って2枚のコピーを差し出してくれた。
「金額はどっちも似たようなもんね、家のことも考えなきゃいけないから大変ねぇ。
少しくらいならオマケしてあげてって社長に言っておいてあげるわ。」
スミにとっても印象のいいこのおばちゃんは、ゆったりながらしっかりと対応してくれた。
二人とも、ここなら急ぎすぎず、必要な時間を掛けて土地探しが出来そうだと安堵した。
つづく
担当:花子
by omodakablog
| 2010-03-19 23:21
| おもだか家 物語